想像力を膨らます一皿―『おいしいアンソロジー スープ』
心とからだに、しみてくる
そんなサブタイトルどおり、スープにまつわるエッセイひとつひとつが、心にもからだにもじんわりと染みてくる。
『おいしいアンソロジー』(大和書房)のスープ編。
エピソードからスープの作り方まで内容は実に多彩。
作家それぞれの個性がにじみ出ていて、この一冊がいろいろな出会いを連れてきてくれる。
こんな編集をしてくれた編集者に、思わず感謝したくなる。

三島由紀夫の「スープは音を立てて吸うべし」。
三島由紀夫って、こういう作風だった?と思いながら、小気味いい文章に、思わずほくそ笑んでしまった。
「わかる、わかる」と共感したのは、村松友視の「チャーハンのスープ」。
出汁の取り方について書かれたエッセイもいくつかあり、
子どもが小さい頃はちゃんと出汁を取っていたよね、と自分に言い訳をしながら読み進める。
久しぶりに、出汁から作ってみようかな、などと思ってみたり(笑)。
コンソメスープについても、作家によって思いは様々。
作家の性格が垣間見れるよう。
料理や素材、食についてのエピソードは、
作家との距離をぐっと縮めてくれることにも気づかされた。
あらためてその作家の本を読み返したら、以前とは違う景色が見えるのかもしれない。
最後に掲載されているのは、東海林さだおの「ラーメンスープ制作日記」。
いや、楽しい。

また、最初から読み返したくなってしまった。
https://www.daiwashobo.co.jp/book/b10094337.html
