毎日使いたい器に出会った日
器にそれほど強いこだわりがあるわけではない。
でも、自分で買うとなると、なぜか自分なりの「これ!」が発動する(笑)。
夫が真岡市出身ということもあって、隣町の益子にはドライブがてら陶器を見に行く機会が多い。
ふらりと立ち寄って「いいな」と思ったものを買うときはいい。
けれど、「こういう器が欲しい」という目的を持って出かけると、なかなか見つからない。
以前使っていたお気に入りの器も、たまたま出会って買ったものだった。
ところが残念なことに、手を滑らせて割ってしまった。
それから、同じような用途で使う器探しが始まった。
色、形、大きさ。
条件には当てはまるのに、どうしても「うーん」と悩んでしまう。
なんか違うんだよなぁ。
前に買った店へ行けば、同じ作家さんの作品に出会えそうなものなのに、なぜか何度足を運んでも巡り会えない。
今年はゴールデンウィークの益子陶器市へ出かけてみた。
益子の陶器市はとにかく人が多い。
そこであえて雨予報の午後を選んだ。
それでも人は多かったが、その分、出店数も多い。
そして、出会った。
普段あまり立ち寄らない露店エリア。
B級品として少し脇に置かれていた器に目が留まった。
「ねぇ、あれ」
夫に視線を送る。
おそらく作家さんにとっては、色の出方が思った通りではなかったのだろう。
一度その場を離れた。
でも、一周して戻ってきたとき、やっぱりあの器が気になった。
「これをください」
そう言うと、作家さんは少し申し訳なさそうに話してくれた。
「ちょっと色の出具合が良くなくて、一部ムラがあるんですよ」
でも私には、その言葉がむしろ魅力に聞こえた。
「それって、この器の個性ですよね。完全な一品物」
しかもB級品扱いだから値段も手頃。
そして何より、ずっと探していたデザインそのものだった。

作家さんは少し驚いたような表情をされた。
作家さんの真意はわからないけれど、私の思いを伝えた。
「飾るためじゃなくて、毎日使いたいんです」
器の色との相性を考えながら料理を作る。
何を盛り付けようか考える。
そうして食卓に並びながら、器も少しずつ生活感を纏ってくる。
私は、そうなってこそ益子焼らしいと思っている。



その器を作ったのは、川島郁朗さん。
あの日連れて帰った器は、今もちゃんと我が家の食卓に並んでいる。


